スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセン氏の「スマホ脳」は世界中でベストセラーになりました。本書は、それを児童文学作家のマッツ・ヴェンブラード氏と共著で、中高生向けに分かりやすくしたもののようです。スウェーデンでは、本書と「最強脳」を学校で無料配布するプロジェクトが進んでいるそうです。やはり、進んだ国です。

 私は、この著者の「運動脳」を読んでこの脳科学の分野に関心を持ったので、他の著作も読もうと思って、まず本書を手に取りました。

 「運動脳」(アンデシュ・ハンセン)を読んで 参照願います。

 

 私たち人類は、サバンナで狩猟採集生活をしていた期間が長く、それと比較すると農耕生活以後の歴史はほんの一瞬です。だから、私たちの脳は、遺伝的にサバンナでの生活に最適化され、今もそのままです。そのために、現代の生活には様々な不都合も生じます。

 本書は、なぜ我々がスマホにのめり込んでしまうのか、どのように対処すればいいのかについて、サバンナ脳の特性から解き明かしています。

 脳は、我々がサバンナで生き残る可能性が高くなるような行動をすると、報酬としてドーパミンという快楽物質を放出します。新しい場所に行ったり新しい経験をしたりすることは、食糧を得やすくなったり危険な場所を知ったりできるので、ドーパミンが放出されます。だから、スマホで次々に新しいページやアプリをクリックした時にもドーパミンが放出されます。また、脳が活動するには膨大なエネルギーが必要なので、なるべく無駄を省こうとします。そして、最も省エネでドーパミンを出してくれるのがスマホなので、スマホにはまってしまうのです。

 さらに、人間は社会的動物で、群れから離れては生きていけません。また、生き残るには、誰が敵で誰が味方か知らなければなりません。だから、グループを作ったり、人のうわさ話をしてもドーパミンが放出されます。スマホにはまってしまうわけです。

 

 スマホ依存の原因と対処法のほか、興味深いデータもいくつか示されています。同じ文章を「紙で読む」のと「スクリーンで読む」のとでは、どちらが内容をよく覚えているかというノルウェーでの実験では、紙の方がよく覚えているとのことです。これは、私も実感しています。ネットで調べ物をしていても、少し長い複雑な文章になると、プリントアウトしてマーカーをしながら読まないと頭に入りません。

 

 米国の研究によると、スマホが普及した2012年頃から、若者の行動が著しく変化したとのことです。若者が、今までやっていたことをやめて、スマホにばかり時間を使うようになったようです。私も、一日のうちのかなりの時間をパソコンやスマホに触っています。私は歩きスマホはしませんが、街ではいい大人がスマホをしながら前を見ずに歩いていて、危なくて仕方ありません。スマホは、既になくてはならないものになってしまいましたが、依存症には気を付けなければ・・・。

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