サイト案内(目次)
歳入の調定を行うべき時期について、地方自治法や同法施行令で明確な規定がないことについては、別稿で紹介いたしました。
ここでは、そのことによって実務に生じている疑問について述べたいと思います。
自治令は調定の時期と年度区分を関連付けていない
歳入の会計年度所属区分は、地方自治法施行令第142条に規定されています。長いので引用できませんが、この各項、各号で年度区分の基準としているのは、納期の末日、特別徴収義務者が徴収すべき月、納入通知書等を発した日、申告があった日などです。
調定とか、歳入の原因となる契約や許可の日とかを基準とする文言は、一切見当たりません。
さらに、調定の日と納入通知書等を発する日を同じ年度にしなければならない根拠もなく、そのことは総務省も認めています。調定を旧年度中に行い、納入通知書の発送が新年度になっても、別に違法ではなく、その場合は、新年度の歳入になるということです。
翌年度以降の歳入の調定はできるか
調定の日と歳入の所属年度とを直結させる必要がないとすれば、翌年度以降の歳入の調定を行うこともできそうです。
典型的なのが、特別徴収の住民税です。あれは、5月中に給与支払者等に徴収すべき税額を通知し、6月分の給与から翌3月分の給与から特別徴収される分は当年度歳入に、翌4月と5月の給与から特別徴収される分は翌年度歳入になります。この翌年度4月、5月分の調定は、いつ行うべきなのでしょうか。当年度末の3月までの分の調定を行うのと同時に、当年度の5月頃行っていいのか、翌年度に入ってから調定しなければならないのかが問題です。
システム上の問題とは別に考えるべき
電算のシステムで、平成30年5月10日に調定しても平成31年度歳入にできるなら問題はありません。調定の日で、歳入所属年度を決めてしまうようなシステムになっていると、調定の時期は31年度になってからでなければならないことになります。
しかし、それはシステムの問題であり、制度上、法令上どう判断すべきかとは関係ありません。
国の「通知」の疑問
昭和38年12月19日付けで、次のような通知(質疑応答)があります。
問 新令第142条第1項第3号ただし書の規定による収入の調定の時期は予算に計上してあれば4月1日以降調定してさしつかえないか。
答 調定は年度内にしなければならない。
この通知は、次のような意味です。
「随時の収入で通知書等を発しないものは、領収した日の属する年度の歳入とする。ただし、地方交付税や地方債は、その収入を計上した予算の属する年度にするが、その場合でも、調定は3月末までにやっておかなければならない。」
この通知は、3号ただし書にいう地方交付税や地方債などのことだけ言っているのか、収入調定全般について言っているのか、明確ではありません。しかし、いずれにしても内容に疑問があり、無理な事務処理をさせる元凶になっています。
「調定」とは何か
地方自治法 (歳入の収入の方法)
第231条 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。
地方自治法施行令 (歳入の調定及び納入の通知)
第154条 地方自治法第231条の規定による歳入の調定は、当該歳入について、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤つていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査してこれをしなければならない。
自治令の規定等から、調定とは、「所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤っていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査して、収入することについて内部的に意思決定する行為」でしょう。
相手方に徴収すべき額の通知をする前には、内部的な意思決定は済ませておかなければなりません。特別徴収義務者や納税義務者に税額の通知を出す前には、当然、内部的意思決定である調定は済ませてあるのが当然です。直感的に考えれば、翌年度歳入の調定は翌年度に入ってからでなければできないような気がしますが、法令を厳密に解釈すると、翌年度以降に収入すべき歳入の調定も今年度にできると解釈すべきだろうと思います。
電算システムの問題等で、実質的な調査、確認、徴収の内部意思決定は前年度中に行っているにもかかわらず形式的な調定を当年度に入ってから行うこととしている団体や、実際の調定日と「調定日として整理する日」を分けたりする団体も多いようです。
調定日と年度区分については、もう一つ問題があり、別稿で紹介します。