ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 虎に翼 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:虎に翼

 NHK朝ドラ「虎に翼」で、ヒロインの再婚相手の星航一が戦前に「総力戦研究所」に所属し、その組織が優秀な若者を集め、模擬内閣を発足させて日米が戦争になった場合の結果を予想させたというエピソードがありました。ここでメンバーば、何度もシミュレーションを繰り返し、日本が必ず敗けるという結論を出して政府に報告しました。

 「人は自分の信じたいことだけ信じる」 参照願います。

 ネット情報でこのエピソードが史実であることを知り、調べたところ、本書に詳しく紹介されているようなので、読んでみることにしました。

 私が読んだのは、小学館が発行している「日本の近代 猪瀬直樹著作集8 日本人はなぜ戦争をしたか」、副題が「昭和16年夏の敗戦」です。これと別に、中公文庫で「昭和16年夏の敗戦 新版」(猪瀬直樹)が刊行されており、この巻末には石破茂氏との対談が載っているとのことですが、市立・県立図書館、ブックオフにも在庫がなく、残念ながら入手できませんでした。本文の内容は、本書と同じでしょう。

 「虎に翼」の星航一のモデルは、東京地裁の判事だったところを駆り集められた、三淵乾太郎で、彼は模擬内閣で司法大臣兼内閣法制局長官を務めています。これと同様、陸軍から駆り出されたメンバーは陸軍大臣、海軍から駆り出されたメンバーは海軍大臣といった具合に、出身母体、専門性に応じて、模擬内閣の閣僚らが割り当てられています。各メンバーは、それぞれの省庁等からデータをもらって持ち寄り、ち密に戦争の帰趨をシミュレートしました。その予測は驚くほど正確で、真珠湾攻撃と原爆投下だけは予測できなかったものの、南方(インドネシア等)からの石油や鉄鉱石の輸送は船が沈められてダメになり物資不足になることや、戦争末期にはソ連が参戦することまで予測しています。戦争は、ほぼその予測どおりに進み、敗戦に至ります。

 本書は、研究所の研究生やスタッフの日記、研究生が提出したレポート、証言のほか、「木戸幸一日記」、極東軍事裁判の記録などを集約して、この研究所や模擬内閣による机上演習、議論に迫っています。

 この研究所のこと以外にも、いろいろ知ることができました。東条英機は、陸軍大臣のころは主戦論者の中心でしたが、天皇陛下に対する忠誠心は人一倍厚い人でした。昭和天皇は、戦争を是非避けたいと考えていて、主戦論者の中心である東条を内閣総理大臣にし、主戦論を抑えて戦争を回避するよう命じました。東条も懸命に陛下の指示を達成しようとしましたが、回り始めた歯車は戻せなかったようです。私は、東条を誤解していました。

 巻末の資料も含め、読みごたえがありました。

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 NHKの朝ドラ「虎に翼」は、夫婦別姓、LGBTなど、現在も続くいくつもの社会問題に踏み込んだ物語が展開されています。9月9日(月)からの週の放送分では、司法の独立の問題、少年法の問題、さらに尊属殺人の問題が描かれるようです。

 この尊属殺人の問題は、国会や政治家の憲法を守る意識の低さを思い出させます。

 従来、刑法第200条に「尊属殺人」の規定があり、死刑又は無期懲役と、一般の殺人罪より著しく重い罰が規定されていました。それが、実父から長年にわたって犯され続けて5人の子まで産まされた娘が思い余って実父を殺害するという事件があり、弁護士が尊属殺人の規定は法の下の平等を定めた憲法第14条に違反するとして争いました。そのあたりは、朝ドラが描く通りです。

 被告側は、一審では主張が認められて勝訴しましたが、控訴審では敗訴し、最高裁に上告されました。最高裁では、小法廷から大法廷に回付され、昭和48年4月4日、刑法第200条は違憲という判決が下されました。しかし、尊属殺人という制度自体を違憲としたわけではなく、普通の殺人より法定刑が重すぎて執行猶予もできないことが違憲とされたにとどまりました。

国会の不作為

 法務省は、最高裁判決後、尊属殺人についても刑法第200条は使わず、一般の殺人罪として起訴するよう検察に対して通達しました。それによって、刑法第200条は死文化され、実害はなくなったのですが、条文自体は残りました。条文が正式に削除され、尊属殺人という罪名が消えたのは、平成7年の村山内閣(首相は社会党)での刑法改正の際です。

 つまり、国会は放置したわけです。おそらく、自民党保守派が反対していたのでしょう。連中には、憲法を守ろうとする意識がないようです。そんな連中が憲法改正を議論しても、空しいだけです。

 政権与党が憲法を無視した事例は、こればかりではありません。憲法53条は、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会を召集しなければならないと定めています。時期についての定めはありませんが、手続きを考慮しても50日か2か月以内には召集しなければならないと考えるのが一般的な解釈です。

 安倍内閣は、森友・加計学園問題の審議のために野党が要求した国会召集を無視し続けました。憲法を守る意識のない連中に、憲法改正の議論などしてほしくありません

 国家公務員、地方公務員は、採用された際、憲法を守ることを宣誓します。私も、県に採用された日、「服務の宣誓に関する条例」に基づいて宣誓しました。国会議員には、憲法を守る義務はないのでしょうか?

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 公務員時代は8時半始業だったのでNHKの朝ドラは見ていなかったのですが、9時始業の民間に移ってから、平日は毎朝楽しんでいます。しかも、今はBSで7時半から先行放送もありますから、余裕です。今放送中の「虎に翼」は、日本で最初の女性弁護士、女性判事になった人の物語で、法律の復習になります。

 今週(6月24日~)のNHK朝ドラ「虎に翼」も民法第730条が焦点になりました。この条文が取り上げられるのは、これで2回目です。

 (親族間の扶け合い)

第七百三十条 直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

 最初は、新民法を編纂する過程で、審議会の委員である守旧派の東大教授が強引にねじ込んでしまった条文という形でクローズアップされました。ヒロインの上司で新民法制定の実務責任者だった登場人物が、「そんな当たり前のことを、わざわざ法律で規定することを国民はどう感じるのか」と残念がっていました。

 今回も、この条文が女性を家に縛り付けているという面に焦点が当たりましたが、結局、友人の梅子は、籍を抜き、家を出て同居を解消することにより、この条文を逆手に取る形で自由になります。

 

 民法には、これと似た、もう少し具体的な条文があります。

 (扶養義務者)

第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

 730条のほうは理念的な条文で、あまり問題になる場面はないのですが、第877条のほうは実際に弊害があり、問題になっています。生活保護を受けようとして申請すると、親や子だけでなく兄弟姉妹にまで福祉事務所から扶養義務を果たすことができないか照会が行くとのことです。それが嫌で、生活が苦しくても生活保護を申請しない人がたくさんおられるようです。その生活保護の手続きは、この条文を根拠としています。

 私も、もしそのような状況になれば、兄弟にまで調査が及ぶことは絶対に嫌です。兄弟の資産は、兄弟だけのものではなく、兄弟の配偶者や家族の生活を支えるものです。今の社会で、兄弟に扶養義務を負わせることは、よほど裕福な人でなければ困難でしょう。こんな条文があるために、むしろ兄弟間で助け合いを躊躇してしまう場合もあるようです。
 時代に合わない法律を改正せよという意見が多いのですが、ここでも守旧派が足を引っ張っているようです。困ったものです。NHKは、この問題にも踏み込んでくれれば・・・。

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 県を定年退職した時は、その翌日から第二の職場に再就職しました。そこを2019年3月末に辞めて同年6月に三つ目の勤務に就くまで、2か月間の無職期間がありました。それまではNHKの朝ドラを見ることはできなかったのですが、その2か月の間に朝ドラを見ることが習慣になり、今日に至っています。

 朝ドラは、いろいろ勉強になります。「カムカムエヴリバディー」を見ている間は、少し英語の勉強になりました。今月から始まった「虎に翼」は、法律家を目指して日本最初の女性弁護士になった人の物語なので、法律の勉強になりそうです。

 私も一応は法学部出身なのですが、旧民法に「妻の無能力」という制度があったことなど、この朝ドラで初めて知りました。旧民法のことで知っていたのは、家督相続くらいしかありません。

 第二週の後半の放送では、「自由心証主義」「権利の濫用」について学び直しました。この二つは、現行制度でも生きている大事な原則、法理です。でも私は、民事訴訟法は履修していなかったので「自由心証主義」は大学では学んでおらず、裁判官や弁護士と仕事上でやり取りする中で、聞き覚えた原則です。

 「権利の濫用」は、「民法総則」で「宇奈月温泉事件」の判例などで習ったので、なんとか覚えていましたが、今回、復習できました。また、朝ドラのストーリーを通じて、法律を杓子定規に適用すると不当な結果になってしまうような場合に、「権利濫用」の法理を使うのだということが理解できました。

 ただ、現実の裁判官は、今回の朝ドラの裁判官のような立派な判決を下す人ばかりでないことは、残念なことではあります。

  ヒロインは法律の勉強を始めたばかりです。さらに勉強が進めば、もっと条文などが出てきて、私も勉強になるだろうと期待しています。
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