ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 西村京太郎 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:西村京太郎

 3月3日、西村京太郎さん91歳で亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。訃報から10日ほどになりますが、氏を悼む声がやみません。

 私は、西村氏のファンで、30年ほど前から氏の作品を読み続けていました。十津川警部らが活躍するトラベルミステリーはもとより、「天使の傷痕」などの社会派作品も素晴らしいものがありました。

 先日、市立図書館に行ったとき、いつもは何冊も並んでいる氏の作品が、2冊ほどしか残っていませんでした。恐らく、氏の訃報を聞いたファンが、あらためて読み直そうと借りていったのでしょう。

 

 しかし、氏のここ数年の作品は、明らかにおかしく、氏の名声に傷を付けかねないものが目につきました。私は、読んでいていたたまれない気持ちになるため、1年ほど前から氏の新作は読むのを止めていました。

 単純なミスと思われる部分、社会制度に関する誤解、ストーリー展開の不自然さ、伏線の張りっ放しなどが増えていました。こんなのは、編集者が読んだ時点で気づかないはずがなく、氏に指摘して修正してもらったうえで出版すべきだったと思います。

 氏のような大家には編集者も何も言えず、氏の作品として出版すればそれなりに売れるので、出版社も目をつぶって出版したのではないかと想像しています。しかし、これは氏の輝かしい業績に傷を付ける所業だったと思います。反省すべきです。 

 私は、以前のすばらしい作品だけを氏の業績として記憶していようと思います。

 
西村京太郎氏の近年の作品が変だ1「札沼線の愛と死 ・・・」

西村京太郎氏の近年の作品が変だ2「北陸新幹線ダブルの日」

西村京太郎氏の近年の作品が変だ3「北軽井沢に消えた女」

 西村京太郎氏の近年の作品が変だ4「十津川警部 北陸新幹線「かがやき」の客たち」

 西村京太郎氏の近年の作品が変だ5「消えたなでしこ」

 西村京太郎氏の近年の作品が変だ6「現美新幹線殺人事件」
 
西村京太郎氏の近年の作品が変だ7「十津川警部 怒りと悲しみのしなの鉄道」
 西村京太郎氏の近年の作品が変だ8「十津川警部 長野新幹線の奇妙な犯罪」
 西村京太郎氏の近年の作品が変だ9「えちごトキめき鉄道殺人事件」
 西村京太郎氏の近年の作品が変だ10「上野―会津 150年後の密約」


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 本書は、いわゆる明治維新150にちなんだ内容で、賊軍とされてしまった会津の名誉回復を狙った勢力が起こす事件を描いたものです。「戊辰150年の歴史を正す者」から、上野公園の西郷隆盛の銅像を破壊せよとの脅迫状が届くところから物語がスタートします。

 随所に歴史上の出来事が紹介されていて、著者は明治維新には否定的な意見をお持ちのように感じます。私も会津藩などに同情しており、明治維新は評価しておらず、日本の近代化のためにあのような暴力革命は不要だったのではないかと考えています。その点、著者の考えには共感します。

 「平成の薩長同盟?」 参照

 

 しかし、内容は・・・。

 長州出身者が主体となった「長州商事」、会津出身者を主体とする「会津商会」、東武鉄道、東京都などがドタバタ騒動を繰り広げる内容です。正直に言えば、動機などの設定が荒唐無稽すぎて、もはや推理小説、ミステリーとは呼べない内容です。ユーモア小説、コメディーのようなストーリーですが、それにしてはハチャメチャ度、滑稽味が足りず、おもしろくありません。中途半端な内容です。

 十津川警部や亀井刑事もこんな物語に登場させられて、困惑しているのではないかと思います。

 

 西村京太郎先生の十津川警部シリーズを出版すれば、買ってしまう昔からのファンがいて、それなりに売れるのかもしれません。しかし、こんな酷い作品を出版すれば、先生の名声に傷がつくのではないかと思います。私は、読んでいて少し悲しくなりました。

出版社、編集者は、目先の欲にとらわれず、先生の名声を大切にしていただきたいと思います。

 「西村京太郎氏の近年の作品が変だ1 「札沼線の愛と死…」

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 この作品は、20192月に初版が発行されています。近年の作品は、ミスや不自然な点の目立つものが多いのですが、本書にはそれが比較的少なく、楽しく読み進めました。

 しかし、やはりいくつか変な点が見受けられます。

 

 冒頭の事件に居合わせて事件に興味を持って調べ始めた鉄道ファン、彼から話を聴いて取材を始めた新聞記者が、最初に登場しただけで放りっぱなしです。特に新聞社が動けば何らかの影響がないはずがなく、忘れてしまったのでしょうか?

 

 主犯の男Aから指示された女性(医師)がそれと知らずに青酸カリ入りのビールを被害者(元刑事)に飲ませたことになっています。しかもこの女性は、他の乗客にも飲み物をあげているのです。他の人には普通の飲み物を、被害者にだけは青酸カリ入りの飲み物を渡さなければならず、知らないでできるとは考えられません。

 また、青酸カリなら飲めばすぐに苦しみだすはずで、車内でそんなことになればすぐに騒ぎになり、終点についてから発覚するなどは考えられません。

 犯行の細部の設定が、かなりアバウトで、「ありえない」と思ってしまいます。

 また、Aの首相に対する「負い目」が不自然です。ハンティングのイベントの際のAの過失を首相が隠してあげたことになっていますが、イベントの中での事故を隠せるとも思えず、また、そのために殺人を犯すほどの負い目とも思えません。かなり不自然な感じがします。

 

 今の世情を反映してか、登場人物がこんなことを言っています。現政権についての作者の意見が反映されているような気がして、その部分には、賛同しています。(この小説はフィクションであり、言及されている首相も架空の人物です。)

 「今の内閣は、総理が個人的に作り上げたお友達内閣という人もいますがね。私はコネで作られた内閣だと思っているんです。」「名家育ちの首相らしいやりかたですよ。」

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 一般に自分の住む自治体が西村先生のような大家の推理小説の舞台になることは、地域おこしにもつながり、うれしいことなのですが、さすがにこの形では、群馬県安中市もあまりうれしくないだろうと思います。

 題名はこういう題名ですが、長野新幹線(現北陸新幹線)の車内で事件が発生したわけではありません。事件は、東京都世田谷区、横浜市、松江市で起こっています。それらの事件のきっかけになっているのが、安中市が新幹線開業を当て込んで行った安中榛名駅前開発の失敗というわけです。題名が、少々こじつけで、苦しい感じです。あそこの駅周辺がどういう状況になっているか私は行ったことがないので知りませんが、このお膳立ては安中市としては文句の一つも言いたいところでしょう。

 

 西村先生といえば、緻密なストーリー構成に定評がありますが、この作品にはそれが感じられません。

 この作品では、上場企業の資産と社長個人の資産が区別されずに同じものとして扱われています。身代金の出所が法人の資産なのか、社長の個人資産なのかが一切説明されていません。安中市への寄付も、会社がするのも不自然ですが、社長個人ではそんなに資産があるとは思えず、それも不自然です。

 法人、上場企業の基本的な仕組についての誤解が多すぎます。

 また、社会的地位のある上場企業社長3人が、初対面で共謀して犯罪に走ることは、考えられず、荒唐無稽すぎます。

 

 さらに、三つの誘拐事件の動機、主犯は説得力が乏しいながらも一応説明されていますが、実行犯については捜査もされず、何も明らかにされていません。

 

 新人がこんな推理小説を出版社に持ち込めば、即座に追い返されるでしょう。出版社は、先生の名声をもっと大切にし、おかしな作品は出版しないようにしていただきたいと思います。

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 昔から西村京太郎さんの大ファンなのですが、近年の作品に明らかな間違いや変な部分が多く、心配しています。出版社、編集者の皆様に、先生の名声を汚さないように注意していただきたいと思い、綴っています。

 

 この作品には、誰もが読み終えれば分かってしまう致命的な欠陥があります。結末がないのです。

 いくつかの事件が起こっていますが、どれも解決していません。最大の事件である列車爆破事件について、容疑者の動機の推測ができただけの段階で、物語が終わってしまっています。誘拐事件など、他の事件についても、犯人などの推測が語られるだけで、捜査もされず、犯人も捕まっていません。

 文芸Webマガジンで連載されたもののようですが、途中で放り出してしまったような感じです。

 

 他にも、刑事手続などの間違いがたくさんあります。

 まず、一度別の人物が犯人とされ、死刑判決が確定している事件について、簡単に別の人物を犯人とする公判が始まっています。ありえません。

 次に、長野地裁でのその公判について、ラジオが法廷内で生中継しています。ありえません。

 次に、その被告人が自殺(を装った他殺?)で死亡し、裁判所は、世論の批判を避けるためにすぐに有罪、死刑の判決を下しています。被告人が死亡した場合は、公訴棄却とすることが刑事訴訟法で定められており、有罪判決を下すことはあり得ません。

 さらに、その死者への地裁の死刑判決に対して、その死者に縁のあった女性に「上告」させます。「上告」とは最高裁に上げることであり、この場合は「高等裁判所に控訴」です。前提の判決自体がありえないので、どうでもいいのですが・・・。

 まだまだありますが、省略します。

 

 そのほかに、小説の構成としての妙な点もあります。

 私立探偵の橋本ら民間人7人に捜査を依頼するのですが、大掛かりな設定なのにその後の展開に反映されず、放りっぱなしです。「あれは何だったんだ?」という感じです。

 このような伏線の張りっぱなし、回収漏れのような部分は、近年の他の作品にも目立ちます。

 繰り返しになりますが、出版社、編集者は、十分注意して、先生の名声をなるべく汚さないようにお願いします。

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