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 私がいま在職している小規模自治体では、近く、当団体としては大規模な建設事業を予定しています。当年度の一般の歳入だけでは対応できないので、このような場合、起債によって財源を調達するの普通です。

しかし、一方で、特定の目的のために積み立てている基金で、今後10年以上は使う必要がないものもあります。そこで、一般会計が、この基金から一時的に借り入れて事業に充て、その後、数年かけて返済することを考えました。

ここで、問題になるのは、このような基金の運用(繰替運用)を年度を超えて行うことが違法ではないかということですが、違法ではないようです。

 

基金の繰替運用

 基金の多くは、将来の特定の目的(庁舎や学校などの改築経費、職員の退職手当の支払など)のために積み立てられているものです。その基金の目的のためでなければ、処分できないとされています(地方自治法第241条第3項)。したがって、基金を処分して使ってしまうことは許されませんが、運用の一環として一時的に一般会計などで使うことは認められています。基金は、必ず条例によって設置されていますが、ほとんどの基金の設置条例には、次のような条項が設けられています。

第○条 長は、財政上必要があると認めるときは、確実な繰戻しの方法、期間及び利率を定めて基金に属する現金を歳計現金に繰り替えて運用することができる。

 

年度を超えた繰替運用の可否

 地方自治法などには、年度を超えた繰替運用を禁止するような規定はありません。だから、各自治体の条例で禁止していなければ、違法ではないことになります。

 それでも、少し躊躇していたのですが、そのような運用をしている団体がかなりあることを知り、当団体もそうすることにしました。背中を押してくれたのは、総務省の担当部署から出された平成30125日付け「平成30年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等について」(事務連絡)です。

 その通知の別記「第3 予算編成上の留意事項」162)に、次の記載がありました。

少し長くなりますが、引用します。

「運用の一形態として、基金から一般会計に会計年度を越える繰替運用を行うという事例が見受けられるが、地方自治法第241条及びそれぞれの基金設置条例の趣旨を逸脱したものとなることのないよう、基金の運用として安全確実性、有利性、流動性(支払準備性、換金性)について満たされているか検証し、必要なものについてはその適正化を図ること。

 あわせて、会計年度を越える繰替運用については、将来負担比率の算定上、当該運用額を充当可能基金から控除する取扱いを確実に行うとともに、住民や議会等が客観的にチェックできるよう、「地方自治法施行規則」(昭和22年内務省令第29号)第16条の2に規定する財産に関する調書、「統一的な基準による地方公会計マニュアル」(平成27123日)に基づく貸借対照表等において、具体的な内容を確実に記載することにより、実態に即した情報開示を行うこと。」

 

 この文書で、年度を越える基金の繰替運用が違法ではなく、行っている団体もあることが分かりました。また、有利性や流動性に留意し、議会などに十分に説明した上で行うべきことが述べられていますが、当然のことです。

 

家計に置き換えると

 自宅を改修する資金が必要になった時に、老後の生活のための預金があったとしたら、預金はそのまま温存して改修資金を銀行から借りるかどうか、一般的にはそうはしないと思います。普通は、預けている利息より借りる利息の方がずっと高いからです。

 

 現在、金利が著しく低く、基金の運用に適した有利な有価証券がなかなか入手できません。一般会計が国債より少し高い程度の金利で借りることとすれば、一般会計にとっても基金にとっても、有利です。

 基金が、他の地方公共団体の公募債を購入して運用することがありますが、自分の団体を運用先としてもいいのではないかと思います。

 

 したがって、当自治体も、一般会計が基金から借りることとし、外部からの起債はしないで済ませることにします。もちろん、議会などには、十分に説明をすることとします。