ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 退職手当法 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:退職手当法

   サイト案内(目次)へ

 1117日金曜日の閣議で、人事院勧告に基づく給与法の改正案に合わせ、国家公務員退職手当法改正案も閣議決定されました。

 退職手当法改正案は、民間との格差解消のため、公務員の退職金を平均で781,000円引き下げるという内容で、来年1月1日以降に退職する人から適用するとのことです。総務省から、地方公務員もこれに準ずるようにという文書も、各自治体に発信されているようです。

 民間に合わせて退職手当を改定すること自体は、当然のことでしょうが、この施行日は、地方自治体にとっては少々無理筋ではないかと思っています。

 

無理なスケジュール

 退職手当法の改正案は、現在開会中の特別国会(会期は、129日までの予定)に提出され、会期中に成立予定とのことです。つまり、内容が確定するのは、129日頃です。

 各地方公共団体では、それから職員団体に提案し、一定の交渉を経てから各議会に提出することが、常道です。1月1日に施行するためには、12月中に成立させなければなりません。

 そんなスケジュールが、可能でしょうか?1210日頃ともなれば都道府県などの議会はもう始まっており、追加提案の形にならざるを得ません。追加提案はやむを得ないとしても、職員団体との交渉を形だけのものにして問答無用で議会に提出し、議会でも十分な審議をせずに裁決にもっていかなければ、不可能ではないかと思います。

 

年度途中の施行は混乱の元

 国もそうだと思いますが、各地方公共団体では、勧奨退職制度または応募認定退職制度など、職員の年齢構成の適正化等のため、一定の要件のもとに定年前の退職者を募っています。その手続は、毎年度の夏頃からスタートしていますが、年度末に退職した場合に退職手当がどの程度割増されて、いくらになるかということを前提として、当局が募集し、職員が応募しているはずです。今の時期になって、その前提をひっくり返すのは、自治体の当局側としても職員への裏切りのようで、忍びないことだと思います。

 また、12月末に駆け込み退職が発生し、混乱する恐れがあります。2013年1月に退職手当が引き下げられた際、埼玉県の教員などで駆け込み退職者がかなり出て、混乱したのも記憶に新しいところです。

 今回の改定は、それほど大幅ではないとはいえ、こういう事態を招きかねないことは、すべきでないと思います。

   サイト案内(目次)へ

 平成20年に行われた国家公務員退職手当法の改正までは、公務員が懲戒免職処分を受けると、退職手当も自動的に不支給でした。この改正で、「全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる」こととされ、「退職手当支給制限処分」という新たな手続が加わりました。

 地方公務員についても、各団体の退職手当条例で、同様の改正が行われました。

 

国家公務員退職手当法

(懲戒免職等処分を受けた場合等の退職手当の支給制限)

第12条 退職をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者(当該退職をした者が死亡したときは、当該退職に係る一般の退職手当等の額の支払を受ける権利を承継した者)に対し、当該退職をした者が占めていた職の職務及び責任、当該退職をした者が行つた非違の内容及び程度、当該非違が公務に対する国民の信頼に及ぼす影響その他の政令で定める事情を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる

 (1)  懲戒免職等処分を受けて退職をした者

 (2) 国家公務員法第76条の規定による失職(同法第38条第1号に該当する場合を除く。)又はこれに準ずる退職をした者

 退職手当管理機関は、前項の規定による処分を行うときは、その理由を付記した書面により、その旨を当該処分を受けるべき者に通知しなければならない。

3 ()

 

制度改正の理由

 制度改正前は、懲戒免職処分と退職手当全額不支給は不可分でした。そのため、退職手当が欲しい職員は懲戒免職処分取消請求を行う必要がありました。そうした中で、退職手当まですべて失わせることが気の毒なようなケースについて、免職処分が取り消されるケースもありました。

 退職手当は、これまでの勤務に対する対価という側面もあり、一度の不祥事による免職と切り離した方が、合理的です。

 

制度の運用

 この制度の運用としては、原則としては全額不支給とされ、一部不支給とするのは、「停職処分にとどめる余地があるところ、あえて厳しく免職処分とされた場合」等に限るとされています。実際にも、一部不支給処分は、極めてまれです。

 教員などでは、普通なら免職にまではする必要のない不祥事でも、「教壇に立たせるわけにはいかない」という判断から、免職とされることがあり得ます。一般職では、そのようなケースはまれであり、今後も、懲戒免職処分=退職手当ゼロが普通の状態が続くと思います。

 にほんブログ村 政治ブログ 地方自治へ
にほんブログ村 


↑このページのトップヘ