病院の医師が、現場でのエピソードを基に地域医療の現状と課題を述べ、あるべき姿を示唆されています。

 

著者は、沖縄県立中部病院の内科に勤務する医師です。この病院は、医療計画などでは、急性期病院救急病院と位置づけられる病院で、それに対応したスタッフが配置されています。

しかし、地域や市町村の在宅支援体制が整備されていないため、病院がその補完をやらされることが多く、医療資源の無駄遣いになることが多いようです。しばしば指摘されていることですが、治療が終了して入院を続ける必要がないのに、退院させられない患者が多いことは、せっかくの急性期病院の病床を無駄にしてしまいます。

本書には、著者が関係した様々な終末期の患者さんの生活、介護、見取りのエピソードが紹介されています。著者の指摘によれば、今のような延命治療を当然のように続けていては、団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題は乗り越えられそうもありません。また、今のように生涯未婚率が高くなっては、家庭の介護力をあてにするのは非現実的です。

地域のリソースを活用して地域(介護施設を含む。)で終末期を過ごし、穏やかな死を迎える。急性期病院は、その体制をバックアップする。そんな体制が求められます。

著者は、「人口が縮減し、地域が過疎化し、経済も縮小していくなかで、私たちが弱者を見殺しにせず、しなやかに安定感をもって下り坂を下りていけるか・・・。まさに日本人の力の見せ所・・・」と指摘しています。

私個人としても、今後、終末期をどこでどのように過ごすべきか、どこで最期を迎えるべきか、いろいろ考えさせられました。

 

 本書は、地域の医療や高齢者の問題に携わる行政その他の関係者にはぜひ一読いただきたい本です。また、同時に、自らの終末期、死に方について考えてみようとする人たちにも、とても参考になる本だと思います。

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