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本書では、20人の専門家が各テーマについて論じています。月刊誌『諸君』2003年7月号に掲載された特集に加筆訂正したものです。したがって、執筆者に保守系の専門家が多く、また最近の状況が反映されていませんが、それでも、私にとって新たな知識がたくさんあり、興味深く楽しむことができました。
取り上げられているテーマは、慰安婦、南京大虐殺、朝鮮人の強制連行、東京裁判などです。
「憲法改正はなぜ実現しなかったのか」というテーマは、百地章氏の執筆です。この方は、憲法改正推進の立場のようで、私とは最終的には意見が異なりますが、賛同できる部分、興味深い部分がありました。
日本と同じ敗戦国のドイツは、1956年に早くも憲法を改正して国防軍を設置しているほか、1968年にはアメリカ、イギリス、フランスからの完全な独立を達成するために国家緊急権規定を盛り込むなどの大改正をしているとのことです。
私も、自民党が現在狙っているのがアメリカからの完全な独立を果たすための憲法改正であれば賛成するかもしれないのですが、そうではなく、アメリカによる日本国内での自由な基地使用、有事の際の指揮権を温存したままの小手先の改正なので、やらない方がいいと考えているのです。
「日本のマスコミは戦争責任をどう果たしたのか」というテーマでは、敗戦後の各新聞社内部での戦争をあおった責任を追及する動き、GHQによる報道規制への対応などを解説しています。GHQが、日本に二度と戦争を起こそうなどと気を起こさせないためと、占領施策や米軍の暴行などへの日本人の不満をそらすために「ウォー・ギルト・インフォメーション」(戦争の罪広報計画)を遂行したこと、そこで日本人が戦争の責任を骨身に染みるように日本軍の残虐行為を殊更に宣伝しようとしたこと、それに日本の一部勢力が迎合・便乗したことなどの説明は、説得力があります。新聞社などもGHQに忠誠を示すかのように、日本軍の悪事を書き立てたようです。「あれほど悪いことをしたのだから、原爆を落とされたのも無差別爆撃を受けたのも仕方のないこと」と思わせたかったのでしょう。GHQによって遂行されたこの施策が、慰安婦、南京大虐殺など、日本を実際以上に悪者に仕立てた虚説をはびこらせ、現在に至るまで尾を引いているのだと思います。この施策が、本書で論じられている他の争点にも影響を与えているのでしょう。
「歴史教科書ではなぜ被害者数がインフレになるのか」というテーマは、編者自身の執筆です。ここでは、外国や国内の一部勢力の思惑で、根拠のない数字がどんどん詰みあがっていく様子が示されています。
左派系の論客のものも読みますが、やはり秦郁彦氏らのものの方が実証的で、説得力があります。「日本人の常識」として、読んでよかったと思える本でした。
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