12月22日、政府は脱炭素政策を議論する「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」を開催し、GX基本方針を決定しました。そこで、脱炭素を口実に原発推進に転じる方針が示されました。

 しかし、原発の脱炭素貢献については、再生可能エネルギーと比較して低いという多くの専門家からの異論もありますが、政府はこれらの疑問に全く答えていません。

 

脱炭素貢献への異論

 東北大学教授(環境エネルギー政策)は、原発について「温室効果ガス削減量当たりの費用は再生可能エネルギーよりも高い。事故リスクや稼働の不安定さを踏まえると最悪の選択肢だ。」と言っておられます。

 

発電コストでも

 2021年7月に資源エネルギー庁が発表した各種電源の発電コストの比較で、2030年の発電コストは太陽光発電が原発を下回り、最も安い電源になるという試算を公表しました。これまでの試算では原発が最も安価な電源とされていたのが覆ったインパクトは大きく、話題になりました。太陽光発電は技術の進歩や設備の量産化が進むことで安価になることが見込まれるのに対し、原発は安全対策費用が高くなっているので、当然です。

 温室効果ガスの削減効率ばかりでなく、単に発電コストで比較しても原発は太陽光発電より劣るのです。現時点での比較でこのような結果なら、将来はもっと差が開くでしょう。

 原発を設置するための安全対策に要する費用は、増える一方です。増えることはあっても、減ることはありません。津波に耐える防潮堤の費用は今の試算に入っているでしょうが、他国がミサイルを撃ち込んできても絶対に放射能漏れを起こさないような対策に要する費用までは入っていないでしょう。そんな対策が可能なのかどうかも分かりませんが・・・。

 放射性廃棄物を長期(万年単位か?)にわたって管理し続ける費用、その土地が長期にわたって使用が制限される逸失利益などは考慮されているのでしょうか?

 自治体や住民を巻き込んで、今後ずっと避難計画を作り、避難訓練をしなければならない費用は?
  私自身に関していえば、仮に原発のコストが圧倒的に安かったとしても、万一の事故の際には日本が壊滅してしまうような方法は絶対に避けるべきだと考えているので、コストにはあまり関心がないのですが・・・。

 政府は、少なくともこのような数値を示し、原発でなくてはならないことを科学的に証明する義務があります。それができないなら、原発などできるだけ早期に撤去すべきでしょう。

 原発安全神話が生きていて、原発が最も安い電源であると思われていたころの考え方に回帰する政権の考え方が理解不能です。

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